骨粗鬆症とは

骨粗鬆症

骨粗鬆症は、何かしらの原因によって骨密度(単位体積あたりの骨の中のカルシウムの量、いわゆる骨量)が低下してしまい、そのことによって骨が脆くなってしまい、骨折しやすくなる病気のことを言います。発症の原因については、大きく原発性骨粗鬆症と続発性骨粗鬆症に分けられるとしています。

原発性骨粗鬆症と続発性骨粗鬆症

原発性骨粗鬆症

原発性骨粗鬆症は、加齢(老人性骨粗鬆症)、女性ホルモンの低下(閉経後骨粗鬆症)、不摂生な生活習慣などが引き金となって発症する骨粗鬆症を言います。

老人性骨粗鬆症についてですが、人は加齢によって、骨リモデリング(新しい骨をつくる代謝作用)のスピードが落ちるようになります。これは骨形成のスピードも低下させるようになることから、骨がもろくなるなどの骨粗鬆症を発症させやすくします。

また閉経後骨粗鬆症に関してですが、女性の多くは更年期(45~55歳)の年代になると閉経を迎えるようになります。そして閉経後は、エストロゲン(女性ホルモン)が著しく減少するようになるのですが、これには骨の新陳代謝に対して骨吸収のスピードを緩める成分が含まれています。そのため、これが分泌されなくなると一気に骨吸収のスピードは加速、これによって骨形成が追い付かなくなっていきます。そして次第に骨は鬆(す)が入ったようなスカスカの状態になってしまい折れやすくなっていくのです。なお、原発性骨粗鬆症の患者様の男女比ですが、男性と比べて女性の患者数は約3倍いると言われています。

このように原発性骨粗鬆症の患者様は、老人性骨粗鬆症と閉経後骨粗鬆症の患者様でほぼ占められていますが、そのほかにも日頃の不摂生な生活習慣(食生活の乱れ、運動不足、寝たきり など)やダイエットなどによる栄養不足によって骨量を低下させて発症するケースも含まれます。

続発性骨粗鬆症

これは主に特定の疾患(甲状腺機能亢進症、関節リウマチ、糖尿病、慢性腎臓病 など)や薬剤の使用(メトトレキサート、ワルファリン、ステロイド など)などが原因となって発症する骨粗鬆症です。病気が原因という場合は、その治療はもちろん、骨粗鬆症の予防対策や治療も大切です。

よくみられる症状

発症することで現れる症状に関してですが、骨量(骨密度)が低下していく中で自覚症状がみられることはありません。ただ骨折しやすい状態にはなっていきます。したがって、発症に気づくきっかけは、転倒時に尻もちや手を着くなどして骨折をする、骨量が減少していくことで、背骨(椎骨)が身体の重さに耐えられず椎体が圧迫骨折をするといったことなどで発覚するようになります。また骨折をしていなくても病状の進行によって、腰痛や背部痛(椎体を圧迫骨折してもみられます)、身長が縮まる、脊柱の後弯変形といった症状が見受けられるようになります。

なお骨粗鬆症が原因で骨折しやすい部位というのはあります。具体的には、大腿骨近位部、橈骨遠位端、脊椎、上腕骨頚部、下腿骨、骨盤などです。

検査について

患者様の訴えや症状などから骨粗鬆症が疑われると診断をつけるための検査をします。具体的には、レントゲン撮影(X線検査)やMRIによる画像診断によって、骨の状態や骨折の有無を確認していきます。

さらに被検者の方(患者様)の現時点での骨量を計測する骨密度測定も行います。同測定については種類が様々ありますが、最も多くの医療機関で採用されているのが、DXA法(二重エネルギーX線吸収測定法)になります。これは、2つの異なるエネルギーのX線を利用して骨密度を測定していきます。全身のどの部位でも計測することはできますが、その大半は腰椎と大腿骨近位部で測定していきます。

診断基準に関しては、脆弱性骨折(ほんの少しの外力で生じる骨折)があるとされる方でYAM(若年成人平均値:腰椎は20~44歳、大腿骨近位部は20代の骨密度の平均値)の値が80%以下、もしくは脆弱性骨折のない方でYAM値が70%以下の数値の場合に骨粗鬆症(原発性)と診断されます。

治療について

治療に関してですが、原発性骨粗鬆症と診断された患者様は、まず生活習慣の改善(食事療法、運動療法)から始めていきます。食事面では、ビタミンDやビタミンKといったカルシウムやカルシウムの吸収を促進するものが含まれている食品を積極的にとるようにします。さらに骨を丈夫にする必要があるので、適度な負荷を骨にかけていく運動もしていきます。運動量はハードなものは必要なく、1回30分程度のウォーキングで充分ですが、できるだけ毎日行うようにしてください。また転倒は骨折につながりやすいので、それを防止するための筋力や体幹を鍛えるための運動も大切です。運動メニューの詳細につきましてはお気軽にご相談ください。

このほか、生活習慣の改善と併行して薬物療法も行っていきます。その際に用いられるのは、骨代謝を調整する薬(活性型ビタミンD3製剤)や骨吸収を抑制させる薬(ビスホスホネート、SEAM(選択的エストロゲン受容体作働薬)、カルシトニン製剤、デノスマブ)、骨形成を促進させる薬(チリパラチド)といったものです。

また続発性骨粗鬆症の患者様であれば、特定の病気が原因であれば原疾患の治療、薬剤が原因であれば、使用の中止や減量といったことが優先されますが、骨粗鬆症に対する予防や治療が必要な場合もあります。